○青森県男女共同参画推進条例

平成十三年七月四日

青森県条例第五十号

青森県男女共同参画推進条例をここに公布する。

青森県男女共同参画推進条例

私たちが目指す二十一世紀の社会は、真の男女平等が達成され、かつ、男女が共に個人として尊重される男女共同参画社会である。それは、すべての人が、性別にかかわりなく個人として尊重され、自らの意思と選択に基づいて自分らしく生きることができる社会である。

青森県においても、国際社会や国の動向を踏まえつつ、男女平等の実現を目指して着実に取組を進めてきた。しかし、依然として性別による固定的な役割分担意識やこれに基づく社会慣行が根強く存在し、真の男女平等の実現には多くの課題が残されている。

少子高齢化の進展等急速に変化する経済・社会環境の下で、本県の未来に明るい展望をひらき、先人たちが築き上げたいにしえからの文化や歴史と、世界に誇り得る豊かな自然を享受しながら、次世代を担う子どもが健やかに生まれ心豊かにはぐくまれ、将来にわたって活力にあふれる地域社会を築いていくためには、男女が共に、家庭、職場、地域など社会のあらゆる分野の活動に対等な立場で参画し、喜びと責任を分かち合う男女共同参画を進めていくことが重要である。

このような認識に立ち、ここに、私たちは男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、県、事業者及び県民の取組を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、並びに県、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の形成に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、並びに当該機会が確保されることにより男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受し、かつ、共に責任を担うことをいう。

 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(基本理念)

第三条 男女共同参画の推進は、男女が性別による差別的取扱いを受けることなく、個人として能力を発揮できる機会が確保されること、夫婦・男女間の暴力が根絶されることその他男女の人権が尊重されることを基本として行われなければならない。

2 男女共同参画の推進に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画の推進を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするよう配慮されなければならない。

3 男女共同参画の推進は、男女が、社会の対等な構成員として、県における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを基本として行われなければならない。

4 男女共同参画の推進は、男女が、相互の協力と社会の理解の下に、子どもを健やかに養育すること、家族を介護することその他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを基本として行われなければならない。

5 男女共同参画の推進は、男女が互いの身体的特徴を理解し合うことにより、生涯にわたる健康と権利が尊重されることを基本として行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める男女共同参画の推進についての基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及びこれを実施するものとする。

(事業者の責務)

第五条 事業者は、基本理念に基づき、その事業活動に関し、男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めるとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(県民の責務)

第六条 県民は、基本理念に基づき、男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めるとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(男女共同参画の状況等の公表)

第七条 知事は、毎年、男女共同参画の状況、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況等を公表しなければならない。

(基本計画)

第八条 知事は、男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、その施策に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。

2 基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 男女共同参画の推進に関する施策の大綱に関する事項

 男女共同参画の推進に関する施策の実施についての総合調整に関する事項

 その他男女共同参画の推進に関する施策の推進のために必要な事項

3 知事は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、青森県男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、県民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

4 知事は、基本計画を定めたときは、遅帯なく、これを公表しなければならない。

5 前二項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第九条 県は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及びこれを実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮するものとする。

2 県は、文書、図画等の作成に当たっては、性別による固定的な役割分担等を助長し、又は連想させるような表現を用いることにより男女共同参画の推進に影響を及ぼすことのないよう配慮するものとする。

(教育及び学習の振興等)

第十条 県は、事業者及び県民の男女共同参画についての理解を深めるため、教育及び学習の振興、広報活動の充実等必要な措置を講ずるものとする。

(苦情等の処理)

第十一条 県は、男女共同参画の推進に関する施策及び男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情並びにこれらの施策に対する意見を処理するために必要な措置を講ずるものとする。

(性別による権利侵害の防止等)

第十二条 県は、セクシュアル・ハラスメント、夫婦・男女間の暴力等の防止に努めるとともに、これらの被害を受けた者に対し、必要な支援措置を講ずるよう努めるものとする。

(調査・研究)

第十三条 県は、事業者及び県民による男女共同参画への取組に関する調査・研究その他の男女共同参画の推進に関する調査・研究を行うものとする。

(支援)

第十四条 県は、男女共同参画の推進に関する活動を行う事業者及び県民に対し、必要な助言及び協力その他の支援措置を講ずるものとする。

2 県は、市町村が男女共同参画の推進に関する施策を実施する場合には、必要な助言及び協力その他の支援措置を講ずるものとする。

(財政上の措置)

第十五条 県は、男女共同参画の推進に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

青森県男女共同参画推進条例

平成13年7月4日 条例第50号

(平成13年7月4日施行)