○青森県福祉のまちづくり条例
平成十年十月十四日
青森県条例第四十六号
青森県福祉のまちづくり条例をここに公布する。
青森県福祉のまちづくり条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 施策の基本方針等(第七条―第十条)
第三章 公共的施設等の整備(第十一条―第十七条)
第四章 雑則(第十八条―第二十二条)
附則
私たちのふるさと青森県は、本州最北端に位置し、鮮やかにうつろいゆく四季、三内丸山遺跡が語りかける古からの歴史など、世界に誇ることができる自然や文化に恵まれている。
このふるさとの豊かな自然や特色ある文化の恵みを私たちのだれもがひとしく享受することができ、並びにこの積雪寒冷の地であるふるさとにおいて、私たちの一人一人が個人として尊重され、住み慣れた地域で安心して快適に生活を営むとともに、自らの意思で、ひとしく、行動し、及び参加することができる社会を実現することは、私たちの共通の願いであり、責務である。
このような認識の下に、私たちは、高齢者、障がい者、妊産婦などで日常生活又は社会生活に制限を受ける人々が円滑に利用できる公共的な施設や交通機関の整備を促進し、すべての人々が自由に、安心して、積極的に社会参加することができるよう行動上その他の障壁のないまちづくりを推進することを決意し、この条例を制定する。
(令六条例三・一部改正)
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、福祉のまちづくりに関する県、事業者及び県民の責務を明らかにし、福祉のまちづくりに関する施策の基本となる事項を定めるとともに、高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用できる公共的な施設等の整備のための措置について必要な事項を定めることにより、福祉のまちづくりの推進を図り、もって県民の福祉の増進に資することを目的とする。
(平一一条例五九・令六条例三・一部改正)
(定義)
第二条 この条例において「福祉のまちづくり」とは、高齢者、障がい者等の社会のあらゆる分野への参加を促進するため、高齢者、障がい者等が施設、物品及び役務を安全かつ円滑に利用できるようにするための措置をいう。
2 この条例において「高齢者、障がい者等」とは、高齢者、障がい者、妊産婦等で日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。
(令六条例三・一部改正)
(県の責務)
第三条 県は、福祉のまちづくりに関する総合的かつ広域的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。
第四条 削除
(平一一条例五九)
(事業者の責務)
第五条 事業者は、その事業活動を行うに当たり、福祉のまちづくりに取り組むよう努めるとともに、県が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
(平一一条例五九・一部改正)
(県民の責務)
第六条 県民は、福祉のまちづくりに取り組むよう努めるとともに、県が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
(平一一条例五九・一部改正)
第二章 施策の基本方針等
(施策の基本方針)
第七条 県は、福祉のまちづくりに関する施策を策定し、及びこれを実施するに当たっては、次に掲げる基本方針に基づき、総合的かつ計画的に行うものとする。
一 事業者及び県民が積極的に福祉のまちづくりに取り組むよう意識の高揚が図られるとともに、県、市町村、事業者及び県民の連携の下に福祉のまちづくりが推進されるよう体制の整備が図られること。
二 高齢者、障がい者等が自由に行動し、安全かつ円滑に利用できるよう公共施設その他の施設の整備が促進されること。
三 高齢者、障がい者等が住み慣れた地域において安全かつ快適に生活を営むことができるよう高齢者、障がい者等に配慮された住宅の普及が促進され、並びに高齢者、障がい者等の交通の安全が確保され、及び高齢者、障がい者等が災害等から保護されること。
(令六条例三・一部改正)
(啓発)
第八条 県は、事業者及び県民の福祉のまちづくりについての関心と理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 県は、高齢者、障がい者等に対する県民の理解を深め、思いやりのある心をはぐくむとともに、福祉のまちづくりに関する知識の普及を図るため、教育用の資料の提供、学習の機会の提供その他の福祉のまちづくりに関する教育及び学習の支援のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(令六条例三・一部改正)
(情報提供等)
第九条 県は、公共施設その他の施設の構造及び設備で高齢者、障がい者等の利便性の向上に資するもの、高齢者、障がい者等が安全かつ快適に生活を営むことができるように配慮された住宅、高齢者、障がい者等の日常生活上の便宜を図るための用具等に関する研究及び技術開発の促進に努めるとともに、市町村、事業者及び県民に対し、当該研究及び技術開発の成果、福祉のまちづくりの状況等福祉のまちづくりに関する必要な情報の提供を行うものとする。
(令六条例三・一部改正)
(自発的な活動の促進)
第十条 県は、福祉のまちづくりに関する県民の自発的な活動の促進のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第三章 公共的施設等の整備
(整備基準の設定)
第十一条 知事は、病院、百貨店、ホテル、旅館、官公庁の庁舎、道路、公園その他の不特定かつ多数の者が利用する施設及びこれに準ずる施設で、規則で定めるもの(以下「公共的施設」という。)の構造及び設備の整備に関し、当該公共的施設を高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするために必要な基準(以下「整備基準」という。)を定めなければならない。
2 整備基準は、公共的施設の出入口、廊下、階段、昇降機、便所、駐車場その他の知事が必要と認める部分について、規則で定める。
(令六条例三・一部改正)
(整備基準の遵守等)
第十二条 公共的施設の新築、増築、改築、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第十四号に規定する大規模の修繕若しくは同条第十五号に規定する大規模の模様替(以下「新築等」という。)又は新設(用途の変更をして公共的施設にする場合における当該用途の変更を含む。以下この項及び第十九条第一項において同じ。)をしようとする者は、当該公共的施設(当該新築等又は新設に係る部分に限る。以下この項において同じ。)を整備基準に適合させるよう努めなければならない。ただし、当該公共的施設を整備基準に適合させる場合と同等以上に高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用することができる場合又は当該公共的施設を地形若しくは敷地の状況、建築物の構造その他やむを得ない理由により整備基準に適合させることが困難である場合は、この限りでない。
2 知事は、公共的施設を高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするため必要があると認めるときは、当該公共的施設を所有し、又は管理する者に対し、当該公共的施設を整備基準に適合させるための措置、当該公共的施設のうち整備基準に適合している部分の機能の維持保全のための措置その他の当該公共的施設を高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするための措置について必要な助言及び指導を行うことができる。
(令六条例三・一部改正)
(適合証の交付及び公表)
第十三条 公共的施設を所有し、又は管理する者は、当該公共的施設を整備基準に適合させているときは、知事に対し、当該公共的施設が整備基準に適合していることを証する証票(以下「適合証」という。)の交付を請求することができる。
2 知事は、前項の規定による請求があった場合において、当該公共的施設が整備基準に適合していると認めるときは、当該請求をした者に対し、適合証を交付しなければならない。
3 知事は、適合証を交付したとき、又は適合証の交付に係る公共的施設が整備基準に適合しなくなったと認めるときは、その旨を公表しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、適合証に関して必要な事項は、規則で定める。
(特定施設の新築等の届出)
第十四条 公共的施設のうち特に高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするための整備を促進することが必要な施設で規則で定めるもの(以下「特定施設」という。)の新築等又は新設(用途の変更をして特定施設にする場合における当該用途の変更を含む。第十九条第一項を除き、以下同じ。)をしようとする者は、当該特定施設の新築等又は新設に係る部分が整備基準に係るものであるときは、当該特定施設の新築等又は新設に着手する日の三十日前までに、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他規則で定める場合は、この限りでない。
一 特定施設の種類及び規模
二 特定施設の新築等又は新設の区分
三 特定施設の新築等又は新設の着手予定日
四 特定施設の構造及び設備の内容(整備基準に係るものに限る。)
五 その他規則で定める事項
(令六条例三・一部改正)
(特定施設の新築等に係る措置)
第十五条 知事は、新築等届又は前条第二項の規定による新築等届の変更に係る届出(以下「新築等変更届」という。)があった場合において、当該新築等届又は新築等変更届に係る特定施設(当該新築等届又は新築等変更届に係る部分に限る。以下この項において同じ。)が整備基準に適合しないと認めるときは、当該新築等届又は新築等変更届をした者に対し、当該特定施設を整備基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう指導し、又は書面により、勧告することができる。
2 前項の規定による指導又は勧告は、当該新築等届に係る特定施設の新築等又は新設に着手する日(新築等変更届に係るものにあっては、特定施設の当該新築等変更届に係る部分の新築等又は新設に着手する日)の前日までにしなければならない。
(特定施設の無届新築等に係る措置)
第十六条 知事は、新築等届をしなければならない者が新築等届をしないで特定施設の新築等又は新設に着手した場合において、当該特定施設(当該新築等又は新設に係る部分に限る。以下この項において同じ。)が整備基準に適合しないと認めるときは、その者に対し、書面により、当該特定施設を整備基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
2 知事は、新築等変更届をしなければならない者が新築等変更届をしないで特定施設の変更に係る部分の新築等又は新設に着手した場合において、当該特定施設(当該新築等又は新設に係る部分に限る。以下この項において同じ。)が整備基準に適合しないと認めるときは、その者に対し、書面により、当該特定施設を整備基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(公共車両等及び公共工作物に係る措置)
第十七条 知事は、一般旅客の運送の用に供する鉄道の車両、自動車、船舶等で規則で定めるもの(以下「公共車両等」という。)又は案内標識、公衆電話ボックスその他の公共の用に供する工作物で規則で定めるもの(以下「公共工作物」という。)を高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするため必要があると認めるときは、当該公共車両等又は公共工作物を所有し、又は管理する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
(令六条例三・一部改正)
第四章 雑則
(財政上の措置)
第十八条 県は、福祉のまちづくりに関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(立入調査等)
第十九条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、公共的施設の新築等若しくは新設をしようとする者又は公共的施設、公共車両等若しくは公共工作物を所有し、若しくは管理する者に対し、当該公共的施設の整備基準への適合状況その他必要な事項に関し報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、公共的施設の工事現場、公共的施設、公共車両等若しくは公共工作物に立ち入り、公共的施設、公共車両等、公共工作物、書類その他必要な物件を調査させ、若しくは関係者に質問させることについて協力を求めることができる。
2 前項の規定により立入調査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(公表)
第二十条 知事は、次に掲げる場合には、その旨を公表することができる。
一 第十四条第一項の規定により届出をしなければならない者が正当な理由がなく当該届出をしないで特定施設の新築等又は新設に着手したとき。
二 第十四条第二項の規定により届出をしなければならない者が正当な理由がなく当該届出をしないで特定施設の変更に係る部分の新築等又は新設に着手したとき。
四 前条第一項の規定による報告若しくは資料の提出の要求又は調査若しくは質問についての協力の要請を受けた者が正当な理由がなく当該要求又は要請に応じないとき。
五 前条第一項の規定による報告若しくは資料の提出の要求又は質問についての協力の要請を受けた者が当該要求又は要請に対して、虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、若しくは虚偽の答弁をし、又は関係者に虚偽の答弁をさせたとき。
2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る者に口頭で意見を述べ、又は意見書を提出する機会を与えなければならない。
(施行事項)
第二十二柔 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
1 この条例は、平成十一年四月一日から施行する。
2 第十四条の規定は、規則で定める日以後に特定施設の新築等又は新設に着手する者について適用する。
附則(平成一一年条例第五九号)抄
1 この条例は、平成十二年四月一日から施行する。
附則(令和六年条例第三号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和六年四月一日から施行する。