○青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例

平成二十二年六月二十五日

青森県条例第三十三号

青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例をここに公布する。

青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例

青森県の基幹産業である農業は、夏季冷涼で変化に富む気候、豊かな水資源、広大で生産力の高い農地、北国の風土に育まれた緑豊かな森林、そして勤勉で意欲的な担い手により、生産量や品質など多くの面で全国の中でも高い水準にあり、県経済や地域社会を支え、本県の発展と県民生活の向上をもたらしてきた。

このような豊かな農業環境のもとで行われている稲作の過程においては、大量の稲わらが発生する。これを貴重な資源として有効に利用することは、本県の農業のみならず、他の産業の振興にも資することが期待されている。

本来、農業者自らが農作業の一環として稲わらを有効利用していくべきものと考えられるが、農業従事者の減少や高齢化といった労働力事情などから、一部の地域においては依然として焼却などの処分が行われている現状がある。

ここに、農業者をはじめ、県、市町村、農業団体等が一体となって、稲わらの焼却等の処分を行わず、健康な土づくりや貴重な資源として循環させることなどによる有効利用を図ることが重要であることから、この条例を制定する。

この条例の制定により、稲わらの焼却により発生する煙による健康や環境、道路交通などへの影響が解消され、県民にとって快適で暮らしやすい環境が形成されることや、本県を訪れる観光客へのイメージアップにつながることなどの効果を期待するものである。

(目的)

第一条 この条例は、稲わらの有効利用の促進及びそれを妨げる焼却等の処分の防止について、県の責務等を明らかにするとともに、稲わらの有効利用の促進及びそれを妨げる焼却等の処分の防止に関する施策の基本となる事項を定めることにより、稲わらの有効利用の促進及びそれを妨げる焼却等の処分の防止に関する施策を総合的に推進し、もって農業の振興、本県の経済の発展及び県民の豊かで健康的な生活の向上を図ることを目的とする。

(県の責務)

第二条 県は、稲わらの有効利用の促進及びそれを妨げる焼却等の処分の防止に関し啓発等必要な施策を実施するものとする。

(農業者の責務)

第三条 農業者は、稲わらの有効利用に努めなければならない。

2 農業者は、稲わらの有効利用の促進を妨げる焼却等の処分を行わないよう努めなければならない。

(施策の基本方針)

第四条 県は、稲わらの有効利用の促進及びそれを妨げる焼却等の処分の防止に関し必要な施策を実施するに当たっては、次に掲げる基本方針に基づき行うものとする。

 農業者による健康な土づくり(農作物が良好に生育する土壌に係る環境を整えるため、土壌に係る診断に基づき農耕の用に供される土地にたい肥等の有機質資材及び土壌改良資材を適正に施用し、適切な土壌の管理を行い、バランスの取れた土壌を生成することをいう。)を支援すること等により、安全性が確保され、安心して消費することができる農産物を求める消費者の需要に対応するため、環境と調和のとれた農業の展開を図ること。

 稲わら等を資源として循環させる耕畜連携(米、野菜等の生産を行う農家と畜産業を営む農家との間の連携をいう。)の強化を図ること等により、環境への負荷が低減される循環型社会の形成を図ること。

 稲わらの広域的な活用に係る情報ネットワークの構築を図ること。

 新エネルギー、工芸品としての活用等稲わらの新たな有効利用を図ること。

 稲わらの焼却等の処分をせず、有効利用を図ることについて農業者の理解と関心を深めること。

(市町村、関係団体等への支援)

第五条 県は、市町村、関係団体等が稲わらの有効利用の促進及びそれを妨げる焼却等の処分の防止に関する施策を実施する場合には、必要な助言及び協力その他の支援措置を講ずるものとする。

(財政上の措置)

第六条 県は、稲わらの有効利用の促進及びそれを妨げる焼却等の処分の防止に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 知事は、この条例の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例

平成22年6月25日 条例第33号

(平成22年6月25日施行)

体系情報
第8編 農林水産/第1章 農林水産政策/第1節 農林水産政策
沿革情報
平成22年6月25日 条例第33号