○青森県歯と口の健康づくり八〇二〇健康社会推進条例

平成二十六年七月七日

青森県条例第八十二号

青森県歯と口の健康づくり八〇二〇健康社会推進条例をここに公布する。

青森県歯と口の健康づくり八〇二〇健康社会推進条例

(目的)

第一条 この条例は、歯と口の健康が糖尿病等の生活習慣病の対策をはじめとする県民の健康づくりに果たす役割の重要性に鑑み、歯科口腔保健の推進に関する法律(平成二十三年法律第九十五号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえ、歯と口の健康づくり(歯の機能の回復によるものを含む。以下同じ。)に関し基本理念を定め、県等の責務を明らかにするとともに、県民の歯と口の健康づくりの推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、歯と口の健康づくりの推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって八〇二〇健康社会(八十歳になっても二十本以上自分の歯を保つことで、県民が生涯にわたり自分の力で物を食べ、楽しく会話ができ、健康で質の高い生活を送ることのできる社会をいう。以下同じ。)及び健康長寿の延伸による長寿の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第二条 歯と口の健康づくりの推進に関する施策は、次に掲げる事項を基本として行わなければならない。

 八〇二〇健康社会の実現に向け、歯と口の健康づくりを推進すること。

 県民が八〇二〇健康社会の重要性を深く理解し、生涯にわたって、むし歯、歯周病、口腔がんその他の歯科疾患の予防及び歯と口の機能の保持増進に向けた取組を行うとともに、積極的かつ定期的に歯科に係る検診(健康診査及び健康診断を含む。以下「歯科検診」という。)を受け、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進すること。

 乳幼児期(出生から六歳までの期間をいう。以下同じ。)から高齢期(六十五歳以上の期間をいう。以下同じ。)までのそれぞれのライフステージにおける歯と口の機能の状態及び歯科疾患の特性に応じて、歯と口の健康づくりに関する保健サービス及び歯科医療を受けることのできる環境が整備され、適切かつ効果的に歯と口の健康づくりを推進すること。

(県の責務)

第三条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国との連携を図りつつ、本県の実情に応じた歯と口の健康づくりの推進に関する総合的な施策を策定し、計画的に実施するものとする。

(県民の責務)

第四条 県民は、基本理念にのっとり、歯と口の健康づくりに関する正しい知識及び理解を深めるとともに、生涯にわたって自ら歯と口の健康づくりに取り組むよう努めるとともに、県、市町村、関係団体等が実施する歯と口の健康づくりの推進に係る施策を積極的に活用し、歯科検診及び歯科保健指導を定期的に受けるよう努めるものとする。

(歯科医師等の責務)

第五条 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療又は保健指導に係る業務(以下「歯科医療等業務」という。)に従事する者(以下「歯科医療等業務従事者」という。)は、基本理念にのっとり、歯と口の健康づくりに資するよう、医師その他歯科医療等業務に関連する業務に従事する者との緊密な連携を図りつつ、適切にその業務を行うとともに、県が歯と口の健康づくりに関して講ずる施策に協力するよう努めるものとする。

2 歯科医療等業務従事者は、歯と口の健康づくりに関する施策及び歯科医療等業務を通じて、八〇二〇運動(「八十歳になっても二十本以上自分の歯を保とう」という運動をいう。)の普及啓発及び県民の歯と口の機能の保持増進に努めるとともに、「食」と「会話」という人間の生活の根幹に関わる「生きる力」を支援し、八〇二〇健康社会の実現に向け、歯と口の健康づくりの立場から生活習慣の改善を図ることにより、むし歯、歯周病、口腔がんその他の歯科疾患予防及び介護予防に努めるものとする。

(保健の業務に従事する者等の責務)

第六条 保健、医療(歯科医療を除く。)、社会福祉、労働衛生、教育その他の歯と口の健康づくりに関連する分野の業務に従事する者及びこれらの業務を行う団体(以下「保健等業務従事者等」という。)は、基本理念にのっとり、それぞれの業務において歯と口の健康づくりの推進に努めるとともに、県が講ずる施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第七条 事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する従業員について、職場環境の整備を行うとともに、歯と口の健康づくりに関する保健サービス及び歯科医療を受ける機会を確保する等歯と口の健康づくりの推進に努めるとともに、県が講ずる施策に協力するよう努めるものとする。

(医療保険者の責務)

第八条 医療保険者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第七項に規定する医療保険者をいう。)は、基本理念にのっとり、県内の医療保険加入者について、歯と口の健康づくりに関する保健サービス及び歯科医療を受ける機会を確保する等歯と口の健康づくりの推進に努めるものとする。

(基本計画)

第九条 知事は、県民の歯と口の健康づくりの推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、歯と口の健康づくりの推進に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。

2 基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 歯と口の健康づくりの推進に関する基本方針

 歯と口の健康づくりの推進に関する目標

 歯と口の健康づくりの推進に関する基本的施策

 前三号に掲げるもののほか、歯と口の健康づくりの推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 基本計画は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第八条第一項の規定により定められた青森県健康増進計画(以下「青森県健康増進計画」という。)との調和が保たれたものでなければならない。

4 知事は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、歯科保健に関する学識経験を有する者及び保健等業務従事者等の意見を聴くとともに、県民及び市町村の意見を反映させることができるよう必要な措置を講ずるものとする。

5 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6 知事は、歯と口の健康づくりに関する施策の進捗状況、社会状況の変化等を踏まえ、基本計画を変更するものとする。

7 第三項から第五項までの規定は、前項の規定により基本計画を変更しようとする場合について準用する。

8 知事は、毎年度、基本計画の実施状況を公表しなければならない。

(基本的施策の推進)

第十条 県は、県民の歯と口の健康づくりを推進するため、次に掲げる基本的施策を推進するものとする。

 乳幼児期から高齢期までの、それぞれのライフステージにおける歯と口の健康づくりに資する情報の収集及び普及啓発その他の歯と口の健康づくりに関する県民の意識を高めるための活動を促進するために必要な施策

 歯と口の健康づくりに関する教育、保健サービス及び歯科医療を円滑に受ける機会を確保するために必要な施策

 妊娠・周産期において必要な歯と口の健康づくり及び妊産婦が身近に安心して歯と口の健康づくりに関する保健サービス及び歯科医療を受けられるようにするために必要な施策

 乳幼児期、少年期(七歳から十五歳までの期間をいう。)及び青年期(十六歳から二十五歳までの期間をいう。以下同じ。)におけるフッ化物応用その他むし歯予防及び歯肉炎予防対策の推進のために必要な施策

 青年期、壮年期(二十六歳から四十五歳までの期間をいう。)、中年期(四十六歳から六十四歳までの期間をいう。)におけるむし歯、歯周病、口腔がんその他の歯科疾患の予防及び進行の抑制のために必要な施策並びに高齢期にあっては当該施策及び歯と口の機能の保持増進のために必要な施策

 障がい者、介護を必要とする者等が歯と口の健康づくりに関する保健サービス及び歯科医療を受けられるようにするために必要な施策

 食育及び生活習慣病対策において必要な歯と口の健康づくりのために必要な施策

 乳幼児期から高齢期までのそれぞれのライフステージにおける定期的な歯科検診の受診の勧奨等のために必要な施策

 歯科医療等業務従事者の資質向上を図るために必要な施策

 前各号に掲げるもののほか、歯と口の健康づくりを推進するために必要な施策

(令六条例三・一部改正)

(歯と口の健康実態調査)

第十一条 県は、おおむね五年ごとに、歯と口の健康づくりに関する健康実態(歯科疾患の罹患状況等を含む。)を明らかにするための調査を行い、その結果を速やかに公表するものとする。

2 県は、前項の調査結果を検証し、歯と口の健康づくりに関する施策の推進並びに基本計画の策定及び見直しに反映させるものとする。

(歯と口の健康づくり月間)

第十二条 県は、歯と口の健康づくりについて、県民の関心と理解を深めるとともに、歯と口の健康づくりが積極的に行われるよう歯と口の健康づくり月間を設ける。

2 歯と口の健康づくり月間は、毎年十一月一日から同月三十日までの期間とする。

3 県は、市町村その他歯と口の健康づくり推進に関する取組を行う者と連携し、歯と口の健康づくり月間の趣旨についての普及及び啓発に努めるものとする。

(施策の推進における連携)

第十三条 県は、歯と口の健康づくりの推進に関する施策を実施するに当たり、市町村、歯科医療等業務従事者、保健等業務従事者等、事業者、医療保険者等との連携を図るものとする。

(財政上の措置)

第十四条 県は、歯と口の健康づくりの推進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 この条例の施行の際現に定められている青森県健康増進計画中歯と口の健康づくりに係る部分は、第九条第一項の規定により定められた基本計画とみなす。

(令和六年条例第三号)

(施行期日)

1 この条例は、令和六年四月一日から施行する。

青森県歯と口の健康づくり八〇二〇健康社会推進条例

平成26年7月7日 条例第82号

(令和6年4月1日施行)