○青森県がん対策推進条例
平成二十八年十二月十六日
青森県条例第六十九号
青森県がん対策推進条例をここに公布する。
青森県がん対策推進条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 受動喫煙の防止(第八条―第十条)
第三章 がん対策に関する基本的施策(第十一条―第十四条)
第四章 基本的施策に係る報告及びがん対策の推進に係る議会の役割(第十五条・第十六条)
第五章 推進体制の整備等(第十七条―第十九条)
附則
がんは、高齢者のみならず、子ども、女性、働き盛りの誰もが罹患する可能性がある病気であり、県民の健康寿命の延伸のためには、がんによる死亡率の減少が最重要課題となっており、生活習慣の改善等によるがんの予防、がんの早期発見・早期治療のための取組のほか、がん診療体制の充実強化に取り組んできたところである。
しかし、依然として、がんは県民の健康に対する脅威となっており、県民、市町村、国民健康保険組合等医療保険者、医師等医療関係者、事業者との連携の下、総合的かつ計画的ながん対策を強力に進め、がん対策を加速化する必要がある。
ここに、がんの克服を県政の重要課題と位置付け、県を挙げてがん対策を推進するため、この条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、がん対策の推進について、基本理念を定め、並びに県、医療保険者、県民、医師等及び事業者の責務を明らかにするとともに、がん対策の推進に関する施策の基本となる事項等を定めることにより、がん対策を総合的かつ計画的に推進し、もって、県民の健康の保持増進に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条 がん対策の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。
一 がんの克服を目指し、がんに関する専門的、学際的又は総合的な研究を促進するとともに、がんの予防、診断、治療等に係る技術の向上その他の研究等の成果を普及し、活用し、及び発展させること。
二 がん患者がその居住する地域にかかわらず等しくがん医療(がん対策基本法(平成十八年法律第九十八号)第二条第二号に規定するがん医療をいう。以下同じ。)を受けることができるようにすること。
三 がん患者の置かれている状況に応じ、本人の意向を十分に尊重してがんの治療方法等が選択されるようがん医療を提供する体制の整備がなされること。
(県の責務)
第三条 県は、前条に定めるがん対策の推進についての基本理念にのっとり、がん対策の推進に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。
(医療保険者の責務)
第四条 医療保険者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第七項に規定する医療保険者をいう。)は、県が講ずるがんの予防に関する啓発及び知識の普及、がん検診に関する普及啓発等の施策に協力するよう努めなければならない。
(県民の責務)
第五条 県民は、喫煙、受動喫煙(健康増進法(平成十四年法律第百三号)第二十五条の四第三号に規定する受動喫煙をいう。以下同じ。)、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を持ち、がんの予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、必要に応じ、がん検診を受けるよう努めなければならない。
(平三一条例五八・一部改正)
(医師等の責務)
第六条 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療関係者は、県が実施するがん対策の推進に関する施策に協力し、がんの予防に寄与するよう努めるとともに、がん患者の置かれている状況を深く認識し、がん医療を行うよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第七条 事業者は、県が実施するがん対策の推進に関する施策に協力し、労働者に対するがん検診の受診の勧奨その他の労働者の健康の保持増進の措置を講ずるよう努めなければならない。
2 事業者は、労働者又はその家族ががんに罹患した場合には、がんに罹患した労働者が治療を受け、若しくは療養し、又は労働者ががんに罹患した家族を看護し、若しくは介護することができるよう就労環境の整備に努めなければならない。
第二章 受動喫煙の防止
(喫煙をする際の配慮義務等)
第八条 県民は、喫煙(健康増進法第二十五条の四第二号に規定する喫煙をいう。)をする際、受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に特に配慮しなければならない。
2 保護者は、その監督保護に係る二十歳未満の者に対し、受動喫煙による健康への悪影響を未然に防止するよう特に配慮しなければならない。
(平三一条例五八・追加)
(多数の者が利用する施設における受動喫煙防止のための配慮)
第九条 健康増進法第二十五条の五に規定する学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設(敷地を含む。以下同じ。)を管理する者(以下「多数の者が利用する施設の管理者」という。)は、当該施設を利用する者の受動喫煙を防止するため、当該施設の構造、利用者の状況等に応じて、禁煙、喫煙所の設置その他の受動喫煙防止対策を講ずるよう特に配慮しなければならない。
2 多数の者が利用する施設の管理者は、喫煙所を設置しようとするときは、受動喫煙を生じさせることがない場所に設置するよう特に配慮しなければならない。
(平三一条例五八・旧第八条繰下・一部改正)
(事業場における受動喫煙防止のための配慮)
第十条 事業者は、室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じて、禁煙、喫煙所の設置その他の受動喫煙防止対策を講ずるよう特に配慮しなければならない。
(平三一条例五八・旧第九条繰下・一部改正)
第三章 がん対策に関する基本的施策
(がんの予防及び早期発見の推進)
第十一条 県は、次に掲げるがんの予防及び早期発見の推進のために必要な施策を講ずるものとする。
一 喫煙、受動喫煙、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響についての県民の関心と理解を深めるための学習の機会の提供、広報活動の充実その他のがんの予防の推進のために必要な施策
二 がん検診の方法等の検討、がん検診の評価の実施、がん検診に携わる医療従事者に対する研修の機会の確保その他のがん検診の質の向上を図るために必要な施策
三 がん検診に関する広報活動の充実その他のがん検診の受診率向上を図るために必要な施策
四 事業者が行う労働者に対するがん検診の受診の勧奨、医師、看護師又は保健師による保健指導その他の労働者の健康の保持増進の措置を講ずるために必要な情報の提供、助言その他の支援に係る施策
五 学校その他の教育機関において、児童及び生徒ががんに関する正しい知識並びに生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響について理解と関心を深めるために必要な施策
(平三一条例五八・旧第十条繰下・一部改正)
(がん医療の均てん化の促進等)
第十二条 県は、次に掲げるがん医療の均てん化の促進等のために必要な施策を講ずるものとする。
一 手術、放射線療法、化学療法その他のがん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師、看護師その他の医療従事者の育成を図るために必要な施策
二 専門的ながん医療の提供等を行う医療機関の整備を図るために必要な施策
三 国立研究開発法人国立がん研究センター、前号に規定する専門的ながん医療の提供等を行う医療機関その他の医療機関等の間の連携協力体制を整備するために必要な施策
四 がん患者の状況に応じて疼痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること、居宅においてがん患者に対しがん医療を提供するための連携協力体制を確保すること、医療従事者に対するがん患者の療養生活の質の維持向上に関する研修の機会を確保することその他のがん患者の療養生活の質の維持向上のために必要な施策
五 がん医療に関する情報の収集及び提供を行う体制を整備するために必要な施策並びにがん患者及びその家族に対する相談支援等を支援するために必要な施策
六 がん患者のがんの罹患、転帰その他の状況を把握し、分析するための取組を支援するために必要な施策
(平三一条例五八・旧第十一条繰下)
(研究の推進等)
第十三条 県は、次に掲げるがん研究の推進等のために必要な施策を講ずるものとする。
一 がんの本態解明、革新的ながんの予防、診断及び治療に関する方法の開発その他のがんの罹患率及びがんによる死亡率の低下に資する事項についての研究が促進され、並びにその成果が活用されるために必要な施策
二 がん医療を行う上で特に必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の早期の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定による製造販売の承認に資するようその治験が迅速かつ確実に行われ、並びにがん医療に係る標準的な治療方法の開発に係る臨床研究が円滑に行われる環境の整備のために必要な施策
(平三一条例五八・旧第十二条繰下)
(受動喫煙防止対策の支援)
第十四条 県は、次に掲げる受動喫煙を防止するために必要な施策を講ずるものとする。
一 多数の者が利用する施設の管理者が当該施設を利用する者の受動喫煙を防止するための措置を講ずるために必要な情報の提供、助言その他の支援に係る施策
二 事業者が室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙を防止するための措置を講ずるために必要な情報の提供、助言その他の支援に係る施策
(平三一条例五八・旧第十三条繰下・一部改正)
第四章 基本的施策に係る報告及びがん対策の推進に係る議会の役割
2 前項の規定による報告の提出は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十三条第五項の規定による主要な施策の成果を説明する書類の提出をもってこれに代えることができる。
(平三一条例五八・旧第十四条繰下・一部改正)
(政策立案及び政策提言)
第十六条 議会は、次に掲げる場合は、がん対策について、議案の提出、決議等を通じて、積極的に政策立案及び知事に対する政策提言を行うものとする。
二 前号に掲げる場合のほか、がん対策を総合的かつ計画的に推進するため必要があると認めるとき。
(平三一条例五八・旧第十五条繰下)
第五章 推進体制の整備等
(推進体制の整備)
第十七条 県は、県、市町村及び県民等が意見を交換し、及び相互に連携して、がん対策を推進するための体制を整備するものとする。
(平三一条例五八・旧第十六条繰下)
(市町村への支援)
第十八条 県は、市町村ががん対策の推進に係る施策を実施する場合には、必要な助言及び協力その他の支援措置を講ずるものとする。
(平三一条例五八・旧第十七条繰下)
(財政上の措置)
第十九条 県は、がん対策の推進に係る施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(平三一条例五八・旧第十八条繰下)
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成三一年条例第五八号)
この条例は、公布の日から施行する。