○青森県犯罪被害者等支援条例

令和元年十二月十三日

青森県条例第二十五号

青森県犯罪被害者等支援条例をここに公布する。

青森県犯罪被害者等支援条例

目次

第一章 総則(第一条―第九条)

第二章 犯罪被害者等支援に関する基本的施策(第十条―第二十一条)

第三章 犯罪被害者等支援に関する施策の推進(第二十二条―第二十四条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、犯罪被害者等支援について、基本理念を定め、並びに県、県民、事業者及び民間支援団体の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって県民が安心して暮らすことができる社会の形成に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 犯罪被害者等 犯罪等(犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。次号において同じ。)により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。

 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、当該被害に係る配慮に欠ける他人の言動により生ずる精神的な苦痛、身体の不調、経済的な損失等の当該犯罪被害者等が受ける被害をいう。

 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を早期に回復し、又は軽減し、安心して暮らすことができるよう支援するための取組をいう。

 民間支援団体 犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和五十五年法律第三十六号)第二十三条第一項に規定する犯罪被害者等早期援助団体その他の犯罪被害者等支援を行う民間の団体をいう。

(基本理念)

第三条 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等の個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利が尊重されることを旨として行われなければならない。

2 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が受けた被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われるとともに、二次被害が生ずることのないよう十分配慮して行われなければならない。

3 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから安心して暮らすことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるように行われなければならない。

4 犯罪被害者等支援は、国、県、市町村、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係する者が相互に連携し、及び協力して行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める犯罪被害者等支援についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国、市町村、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係する者との適切な役割分担を踏まえて、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的に策定し、及びこれを実施するものとする。

(県民の責務)

第五条 県民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、二次被害が生ずることのないよう十分配慮するよう努めるとともに、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第六条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては二次被害が生ずることのないよう十分配慮するよう努めるとともに、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(民間支援団体の責務)

第七条 民間支援団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等支援を行うよう努めるとともに、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(総合的な支援のための体制)

第八条 県は、犯罪被害者等支援に関し、国、市町村、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係する者と相互に連携を図りながら協力するための体制を整備するものとする。

2 県は、犯罪被害者等支援に関し、犯罪被害者等支援のために必要な事項について情報を共有する等関係する地方公共団体との連携に努めるものとする。

(推進計画)

第九条 知事は、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「推進計画」という。)を定めなければならない。

2 推進計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 犯罪被害者等支援に関する施策の方向

 その他犯罪被害者等支援に関する施策の推進のために必要な事項

3 知事は、推進計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

4 知事は、毎年度、推進計画の実施状況を公表しなければならない。

第二章 犯罪被害者等支援に関する基本的施策

(相談及び情報の提供等)

第十条 県は、犯罪被害者等が、その受けた被害を早期に回復し、又は軽減し、安心して暮らすことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、犯罪被害者等の援助に精通している者を紹介する等必要な施策を講ずるものとする。

(損害賠償の請求に関する情報の提供等)

第十一条 県は、犯罪被害者等が受けた被害に係る損害賠償の請求に資するため、損害賠償の請求に関する情報の提供及び助言等必要な施策を講ずるものとする。

(経済的な助成に関する情報の提供等)

第十二条 県は、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減に資するため、経済的な助成に関する情報の提供及び助言等必要な施策を講ずるものとする。

(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)

第十三条 県は、犯罪被害者等が心身に受けた影響から早期に回復できるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な施策を講ずるものとする。

(安全の確保)

第十四条 県は、犯罪被害者等が更なる被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保等必要な施策を講ずるものとする。

(居住の安定)

第十五条 県は、その受けた被害により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、青森県県営住宅条例(昭和三十六年十二月青森県条例第六十九号)第二条第一号に規定する県営住宅への入居における特別の配慮等必要な施策を講ずるものとする。

(雇用の安定)

第十六条 県は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性について事業者に対する啓発を行う等必要な施策を講ずるものとする。

(刑事に関する手続及びその進捗状況に関する情報の提供)

第十七条 県は、犯罪被害者等が受けた被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするため、刑事に関する手続及びその進捗状況に関する情報の提供等必要な施策を講ずるものとする。

(保護又は捜査の過程における配慮等)

第十八条 県は、犯罪被害者等の保護又は犯罪被害者等が受けた被害に係る刑事事件の捜査の過程において、名誉、生活の平穏その他犯罪被害者等の人権に十分な配慮がなされ、犯罪被害者等の負担が軽減されるよう、犯罪被害者等の心身の状況、その置かれている環境等に関する理解を深めるための訓練及び啓発、専門的知識又は技能を有する職員等の配置、必要な施設の整備等必要な施策を講ずるものとする。

(県民等の理解の増進等)

第十九条 県は、県民及び事業者の犯罪被害者等支援についての理解を深め、及び二次被害を防止するため、広報活動及び教育の充実等必要な施策を講ずるものとする。

(人材の育成等)

第二十条 県は、犯罪被害者等支援に係る人材の育成及び資質の向上を図るため、犯罪被害者等支援の必要性、二次被害の防止の重要性等についての研修の実施等必要な施策を講ずるものとする。

(民間支援団体の活動の促進)

第二十一条 県は、民間支援団体の活動の促進に資するため、犯罪被害者等支援に関する情報の提供及び助言、犯罪被害者等支援に従事する者に対する心理に関する支援等必要な施策を講ずるものとする。

第三章 犯罪被害者等支援に関する施策の推進

(市町村への支援)

第二十二条 県は、市町村が犯罪被害者等支援に関する施策を実施する場合には、必要な情報の提供及び助言その他の支援措置を講ずるものとする。

(意見の反映)

第二十三条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策に犯罪被害者等の意見を反映させるため、必要な措置を講ずるものとする。

(財政上の措置)

第二十四条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

青森県犯罪被害者等支援条例

令和元年12月13日 条例第25号

(令和元年12月13日施行)