○青森県自然・地域と再生可能エネルギーとの共生に関する条例
令和七年三月二十八日
青森県条例第二号
青森県自然・地域と再生可能エネルギーとの共生に関する条例をここに公布する。
青森県自然・地域と再生可能エネルギーとの共生に関する条例
(目的)
第一条 この条例は、自然・地域と再生可能エネルギーとの共生について、基本理念を定め、並びに県、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、自然・地域と再生可能エネルギーとの共生に関する措置について必要な事項を定めることにより、本県の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電事業との共生を図ることを目的とする。
一 再生可能エネルギー発電施設 再生可能エネルギー源(太陽光又は風力に限る。以下同じ。)を電気に変換する施設(その全部が海域又は建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物に設置されるものを除く。)及びその附属施設であって、太陽光に係るものにあっては出力が二千キロワット以上のもの、風力に係るものにあっては出力が五百キロワット以上のもの(増設により出力がこれらの出力以上となるものを含む。)をいう。
二 再生可能エネルギー発電施設の設置 再生可能エネルギー発電施設の新設及び増設(これらの行為に伴う木竹の伐採及び土地の形質の変更を含む。)をいう。
(基本理念)
第三条 自然・地域と再生可能エネルギーとの共生は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。
一 健全で恵み豊かな自然環境、景観、歴史・文化等が県民の共通の財産であることに鑑み、広く県民がその恵沢を享受するとともに、これらを良好な状態で未来に継承していくこと。
二 再生可能エネルギーの利用が、地球温暖化の防止に資するとともに、地域の活性化その他地域社会の健全な発展にも寄与することに鑑み、自然・地域との共生を前提として、その円滑な導入が促進されるものであること。
三 県、市町村、事業者及び県民が相互に理解し、協力すること。
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める自然・地域と再生可能エネルギーとの共生についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、地域の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電事業との共生に関する総合的な施策を策定し、及び市町村の協力を得てこれを実施するものとする。
(事業者の責務)
第五条 事業者は、基本理念にのっとり、再生可能エネルギー発電事業の実施に当たって地域の自然環境、景観、歴史・文化等と共生が図られるよう必要な措置を講ずるとともに、市町村及び地域の住民等との良好な関係を構築するよう努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、この条例その他の再生可能エネルギー発電事業に係る関係法令を遵守するとともに、県が行う地域の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電事業との共生に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(県民の責務)
第六条 県民は、基本理念にのっとり、県が行う地域の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電事業との共生に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(地域区分)
第七条 知事は、保護地域、保全地域及び調整地域を定めるものとする。
2 保護地域は、自然環境、景観、歴史・文化等を良好な状態で未来に継承するために保護すべき地域とする。
3 保全地域は、再生可能エネルギー発電施設の設置が当該地域に重大な影響を及ぼすことなく、自然環境、景観、歴史・文化等を良好な状態で未来に継承するために保全すべき地域とする。
4 調整地域は、再生可能エネルギー発電施設の設置が当該地域に及ぼす影響を考慮し、自然環境、景観、歴史・文化等との調整をすべき地域とする。
5 知事は、第一項の規定により、保護地域、保全地域又は調整地域を定めるときは、あらかじめ、これを告示しなければならない。保護地域、保全地域又は調整地域を変更するときも、同様とする。
(共生区域)
第八条 知事は、市町村の申出に基づき、保全地域又は調整地域内の次に掲げる区域のうち、地域の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電施設とが共生することができると認められるものを共生区域として定めることができる。
一 地域の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電施設とが共生することができるものとして市町村が定めた区域
二 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第二十一条第五項第二号の区域
三 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成二十五年法律第八十一号)第五条第二項第二号の区域
2 知事は、前項の規定にかかわらず、保全地域又は調整地域内の地域の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電施設とが共生することができると認められる区域を共生区域として定めることができる。
6 前各項の規定は、共生区域の変更について準用する。
一 当該再生可能エネルギー発電施設の設置が環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二条第四項に規定する対象事業に該当する場合であって、同法第三条の三第一項(同法第三条の十第二項の規定によりみなして適用する場合を含む。)の規定により計画段階環境配慮書を作成するとき 当該計画段階環境配慮書の公表の日前で規則で定める日
二 当該再生可能エネルギー発電施設の設置が環境影響評価法第二条第四項に規定する対象事業に該当する場合であって、同法第三条の三第一項(同法第三条の十第二項の規定によりみなして適用する場合を含む。)の規定による計画段階環境配慮書の作成をしないとき 同法第七条の規定による公告の日前で規則で定める日
三 当該再生可能エネルギー発電施設の設置が青森県環境影響評価条例(平成十一年十二月青森県条例第五十六号)第二条第四項に規定する対象事業に該当する場合 同条例第七条の規定による公告の日前で規則で定める日
四 前三号に掲げる場合以外の場合 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第四十八条第一項の規定による届出の日前で規則で定める日
2 再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者は、規則で定めるところにより、意見交換会の開催を予定する日の三十日前までに知事に届け出るとともに、その概要を公表し、かつ、当該再生可能エネルギー発電施設の設置が予定されている市町村に通知しなければならない。
3 再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者は、意見交換会を開催したときは、その開催後三十日以内に、規則で定めるところにより、意見交換会の開催状況を知事に報告するとともに、当該再生可能エネルギー発電施設の設置が予定されている市町村に通知しなければならない。
(再生可能エネルギー発電施設設置計画案の届出)
第十条 再生可能エネルギー発電施設の設置(当該再生可能エネルギー発電施設の設置が環境影響評価法第二条第四項に規定する対象事業又は青森県環境影響評価条例第二条第四項に規定する対象事業に該当する場合に限る。以下この条から第十二条までにおいて同じ。)をしようとする者は、前条第三項の規定による報告後規則で定める日までに、次に掲げる事項を記載した再生可能エネルギー発電施設の設置に関する計画の案(以下「再生可能エネルギー発電施設設置計画案」という。)を知事に届け出るとともに、その概要を公表し、かつ、当該再生可能エネルギー発電施設の設置が予定されている市町村に当該再生可能エネルギー発電施設設置計画案を送付しなければならない。
一 再生可能エネルギー発電施設の設置の計画の概要
二 再生可能エネルギー発電施設の設置に係る関係法令の規定の遵守に関する事項
三 再生可能エネルギー発電施設の設置をする場所についての所有権その他の使用の権原の取得に関する事項
四 再生可能エネルギー発電施設の設置のための工事の概要
五 再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者の関係者に関する事項
六 再生可能エネルギー発電施設の設置が地域の自然環境、景観、歴史・文化等に対して及ぼし得る影響及びその予防措置の内容
七 再生可能エネルギー発電施設の設置に伴い生じ得る廃棄物の撤去その他の処理に関する事項
八 その他規則で定める事項
(再生可能エネルギー発電施設設置計画案についての知事の意見)
第十一条 知事は、前条の規定による届出があったときは、規則で定める期間内に、再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者に対し、再生可能エネルギー発電施設設置計画案について、地域の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電施設との共生を図る見地からの意見を述べなければならない。
2 前項の場合において、知事は、再生可能エネルギー発電施設設置計画案について、当該再生可能エネルギー発電施設の設置が予定されている市町村に対し、地域の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電施設との共生を図る見地からの意見を求めなければならない。
4 知事は、第一項の規定により意見を述べたときは、当該意見の内容を当該再生可能エネルギー発電施設の設置が予定されている市町村に通知するとともに、当該意見の内容を公表しなければならない。
(説明会の開催等)
第十二条 再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者は、電気事業法第四十八条第一項の規定による届出の日前で規則で定める日までに、規則で定めるところにより、再生可能エネルギー発電施設の設置の場所の周辺地域の住民等に対し、当該再生可能エネルギー発電施設の設置に関する説明会(以下「説明会」という。)を開催しなければならない。
2 再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者は、規則で定めるところにより、説明会の開催を予定する日の三十日前までに知事に届け出るとともに、その概要を公表し、かつ、当該再生可能エネルギー発電施設の設置が予定されている市町村に通知しなければならない。
3 再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者は、説明会を開催したときは、その開催後三十日以内に、規則で定めるところにより、説明会の開催状況を知事に報告するとともに、当該再生可能エネルギー発電施設の設置が予定されている市町村に通知しなければならない。
一 当該再生可能エネルギー発電施設の設置をしないこととしたとき。
二 当該再生可能エネルギー発電施設の設置を他の者に引き継いだとき。
三 その他規則で定めるとき。
(再生可能エネルギー発電施設設置計画の認定)
第十五条 再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者は、規則で定めるところにより、再生可能エネルギー発電施設の設置に関する計画(以下「再生可能エネルギー発電施設設置計画」という。)を作成し、知事の認定を受けなければならない。
2 再生可能エネルギー発電施設設置計画には、第十条各号に掲げる事項を記載しなければならない。
3 再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者は、第一項の規定による認定の申請をしたときは、当該申請に係る再生可能エネルギー発電施設設置計画の概要を公表しなければならない。
一 再生可能エネルギー発電施設(再生可能エネルギー源を電気に変換する施設に限る。)が、調整地域又は共生区域内にあること。
二 再生可能エネルギー発電施設設置計画の内容が、地域の自然環境、景観、歴史・文化等及び地域社会との共生が図られるものであること。
三 再生可能エネルギー発電施設設置計画が確実に実施されると見込まれること。
四 申請者がこの条例に違反していないこと。
6 知事は、第一項の規定による認定をするときは、再生可能エネルギー発電施設の設置が予定されている市町村に対し、地域の自然環境、景観、歴史・文化等と再生可能エネルギー発電施設との共生を図る見地からの意見を求めるとともに、青森県環境審議会の意見を聴かなければならない。
7 共生区域において再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者が、地球温暖化対策の推進に関する法律第二十二条の二第三項の認定又は農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律第七条第三項の認定を受けた場合において、規則で定めるところにより、知事に届け出たときは、第一項の認定を受けたものとみなす。
(地位の承継)
第十六条 第十五条第一項の規定による認定を受けた者の一般承継人又は当該認定を受けた者から当該認定に係る再生可能エネルギー発電施設設置計画に係る再生可能エネルギー発電施設の設置をする場所の所有権その他の当該再生可能エネルギー発電施設の設置に必要な権原を取得した者は、知事の承認を受けて、当該認定を受けた者が有していた再生可能エネルギー発電施設設置計画の認定に基づく地位を承継することができる。
(認定を受けた再生可能エネルギー発電施設設置計画の変更及び廃止の届出)
第十七条 第十五条第一項の規定による認定を受けた者は、当該認定に係る再生可能エネルギー発電施設設置計画のうち規則で定める事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。
2 第十五条第一項の規定による認定を受けた者は、当該認定に係る再生可能エネルギー発電施設設置計画を廃止したときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。
(再生可能エネルギー発電施設の設置の届出)
第十八条 第十五条第一項の規定による認定を受けた者は、当該認定に係る再生可能エネルギー発電施設の設置をしたときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。
(認定の取消し)
第十九条 知事は、第十五条第一項の規定による認定を受けた者が偽りその他不正の手段により当該認定を受けたことが判明したときは、その認定を取り消すことができる。
(報告徴収及び立入検査)
第二十条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者、再生可能エネルギー発電施設の設置をした者その他の関係者に対し、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者、再生可能エネルギー発電施設の設置をした者その他の関係者の事業所、事務所若しくは再生可能エネルギー発電施設の設置をする場所に立ち入り、帳簿、書類、再生可能エネルギー発電施設その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(助言、指導及び勧告)
第二十一条 知事は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、再生可能エネルギー発電施設の設置をしようとする者又は再生可能エネルギー発電施設の設置をした者に対して、助言、指導及び勧告をすることができる。
2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る者に口頭で意見を述べ、又は意見書を提出する機会を与えなければならない。
(過料)
第二十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の過料に処する。
一 第十五条第一項の規定に違反して、知事の認定を受けないで再生可能エネルギー発電施設の設置をした者
二 偽りその他不正の手段により第十五条第一項の規定による認定を受けた者
(市町村の条例との調整)
第二十四条 市町村がこの条例と同じ目的の条例を制定した場合において、当該条例の適用により地域と再生可能エネルギー発電事業との共生を図る上で支障が生ずるおそれがない地域として規則で定める地域におけるこの条例の規定の適用については、規則で定めるものとする。
(施行事項)
第二十五条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
1 この条例は、令和七年七月一日から施行する。
2 第九条から第二十三条までの規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前において、環境影響評価法第二十七条の規定による公告をし、青森県環境影響評価条例第二十六条の規定による公告をし、電気事業法第四十八条第一項の規定による届出をし、設置の工事に着手し、又は設置の工事を完了した再生可能エネルギー発電施設については、適用しない。
3 第九条から第十一条までの規定は、施行日前において、環境影響評価法第三条の四第一項(同法第三条の十第二項の規定によりみなして適用する場合を含む。)の規定による公表をし、同法第七条の規定による公告をし、又は青森県環境影響評価条例第七条の規定による公告をした再生可能エネルギー発電施設については、適用しない。