○青森県自助・共助による防災の取組の推進に関する条例

令和八年三月二十七日

青森県条例第四号

青森県自助・共助による防災の取組の推進に関する条例をここに公布する。

青森県自助・共助による防災の取組の推進に関する条例

私たちが暮らす青森県は、本州の最北に位置し、三方を太平洋、日本海、津軽海峡に囲まれ、津軽半島と下北半島の間には陸奥湾が広がっています。

世界自然遺産である白神山地をはじめ、八甲田山や岩木山などの雄大な山々が連なり、岩木川、馬淵川などの河川が平野を潤しながら海へと注ぎ、十和田湖、十三湖、小川原湖が、多様な景観に彩りを添えています。

しかし、豊かな自然は、私たちに豊富で多様な農林水産物をはじめとする多くの恩恵をもたらす一方で、東日本大震災などの大規模災害や、豪雨、豪雪などにより大きな被害をもたらしてきました。

三方を海に囲まれ県土全体が半島地形というぜい弱性を抱える我が県は、孤立地域の発生をはじめとする様々な災害リスクにさらされており、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震が発生した場合には、県内全域において甚大な被害の発生が想定されています。

さらに、人口の減少、高齢化の進展等により、消防団及び自主防災組織等の担い手を確保することが困難となっています。

災害から県民の生命、身体等を守るため、災害時には国、県、市町村等が連携し、「公助」として被災者の救助や支援を行っています。

しかしながら、災害の規模が大きいほど、「公助」による支援が行き届くまでには時間がかかります。

災害から自分自身や大切な人の命を守るためには、「公助」による支援を待つだけではなく、自分自身の力と地域の力、すなわち「自助」と「共助」の力で対応することが求められます。

このような認識に立ち、私たちは自助・共助による防災の活動に取り組むことを通じて、災害に強い青森県を実現するため、この条例を制定します。

(目的)

第一条 この条例は、自助・共助による防災の取組の推進について基本理念を定め、並びに県、市町村、県民、事業者及び自主防災組織等の責務を明らかにするとともに、自助・共助による防災の取組の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、災害から県民等の生命、身体等が保護され、もって災害に強い地域社会の形成に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 災害 暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、地盤の液状化、噴火、地滑りその他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。

 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。

 自助 県民等が自らの生命、身体等を自ら守ることをいう。

 共助 地域において住民等が相互に協力して生命、身体等を守ることをいう。

 自助・共助による防災の取組 自助及び共助による防災の取組をいう。

 自主防災組織等 住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織その他の地域において自発的に防災活動を行う団体をいう。

 防災支援団体 住民等に対し防災に関する支援活動を行う団体をいう。

(基本理念)

第三条 自助・共助による防災の取組の推進は、災害が発生した場合における人の生命、身体等に対する被害を防止し、又は被害の最小化を図るためには自らの生命、身体等は自ら守ることが重要であるとの認識の下に、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。

 年齢、性別、障がいの有無、地域の特性その他の事情に応じて、自主的かつ積極的に行われること。

 県、市町村、県民、事業者、自主防災組織等、防災支援団体等が相互に連携し、及び協力すること。

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める自助・共助による防災の取組の推進についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、自助・共助による防災の取組の推進に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施し、並びに公助の担い手として、本県の地域並びに県民等の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、本県の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するものとする。

2 県は、防災支援団体による防災活動が災害時において果たす役割の重要性に鑑み、その自主性を尊重しつつ、防災支援団体との連携に努めるものとする。

(市町村の責務)

第五条 市町村は、基本理念にのっとり、公助の担い手として、当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するものとする。

2 市町村は、基本理念にのっとり、住民一人一人が自ら行う防災活動及び自主防災組織その他の地域における多様な主体が自発的に行う防災活動の促進に努めるものとする。

3 市町村は、防災支援団体による防災活動が災害時において果たす役割の重要性に鑑み、その自主性を尊重しつつ、防災支援団体との連携に努めるものとする。

(県民の責務)

第六条 県民は、基本理念にのっとり、自助・共助による防災の取組の必要性についての理解を深め、自助・共助による防災の取組を行うよう努めるとともに、県が実施する自助・共助による防災の取組の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第七条 事業者は、基本理念にのっとり、自助・共助による防災の取組の必要性についての理解を深め、その事業活動に関し自助・共助による防災の取組を行うよう努めるとともに、県が実施する自助・共助による防災の取組の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(自主防災組織等の責務)

第八条 自主防災組織等は、基本理念にのっとり、自助・共助による防災の取組を行うよう努めるとともに、県が実施する自助・共助による防災の取組の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(自助・共助による防災の取組の推進に関する施策)

第九条 県は、自助・共助による防災の取組の推進のため、次に掲げる施策その他必要な施策を講ずるものとする。

 県民及び事業者の防災に関する知識及び技能の習得のための研修等の実施に関する施策

 自助・共助による防災の取組の推進に係る人材の育成に関する施策

 県民及び事業者による物資の備蓄の促進に係る普及啓発に関する施策

 消防団及び自主防災組織等の活動に係る理解の増進に関する施策

 自主防災組織等の設立等に係る普及啓発に関する施策

 自主防災組織等の活動の充実強化に関する施策

 事業者による資機材の整備及び点検に係る普及啓発に関する施策

 建築物その他の工作物の倒壊等及び家具等の転倒等による人の生命又は身体に係る被害の防止に係る普及啓発及び対策の促進に関する施策

 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における県民等による自助・共助による防災の取組の実施に係る情報の発信に関する施策

 市町村及び自主防災組織等による避難行動要支援者(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第四十九条の十第一項に規定する避難行動要支援者をいう。以下同じ。)に対する避難支援の円滑な実施の促進に関する施策

(防災に関する知識等の習得)

第十条 県民は、防災に関する研修及び訓練への参加、県、市町村等が提供する防災に関する情報の活用等により、防災に関する最新の知識及び技能の習得に努めなければならない。

(災害が発生するおそれがある場所等の確認)

第十一条 県民は、次に掲げる事項について確認するよう努めなければならない。

 居住地、勤務地等の地域において災害が発生するおそれがある場所

 居住地、勤務地等の地域に係る避難場所、避難所、避難経路及び避難方法

 家族等の安否の確認の方法

 その他安全の確保に必要な事項

(物資の備蓄等)

第十二条 県民は、自ら災害が発生した場合において必要とする食品、飲料水その他の生活必需物資を備蓄するよう努めなければならない。

2 県民は、避難の際に必要な物資を持ち出すことができるように準備するよう努めなければならない。

(従業員等の安全の確保等)

第十三条 事業者は、災害が発生した場合において従業員等の安全を確保するよう努めるとともに、事業の継続又は早期の再開ができるよう、事業の継続に関する計画の作成等の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 事業者は、地域における防災に関する活動に協力するよう努めなければならない。

(建築物の倒壊等の防止)

第十四条 建築物その他の工作物を所有し、又は管理する者は、地震等による建築物その他の工作物の倒壊等により人の生命又は身体に係る被害が生ずることを防止するための必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 県民及び事業者は、地震等による家具等の転倒等により人の生命又は身体に係る被害が生ずることを防止するための必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(消防団の役割に関する理解等)

第十五条 県民及び事業者は、消防団の役割に関する理解を深めるよう努めるとともに、消防団の活動に協力するよう努めなければならない。

(自主防災組織等の役割に関する理解等)

第十六条 県民は、自主防災組織等の役割に関する理解を深めるよう努めるとともに、自主防災組織等の活動に参加するよう努めなければならない。

(自主防災組織等の活動)

第十七条 自主防災組織等は、県、市町村、事業者、防災支援団体等の協力を得て、地域の特性に応じて、定期的に防災に関する研修、訓練等を行うよう努めなければならない。

2 自主防災組織等は、避難行動要支援者の避難が円滑に行われるよう、当該避難行動要支援者に関し必要な情報の把握に努めなければならない。

(避難の指示があった場合の安全の確保のための措置等)

第十八条 県民は、県、市町村等が提供する防災に関する最新の情報を収集するとともに、市町村長等の避難の指示等があった場合又は自ら避難を要すると判断した場合には、速やかに安全を確保するための措置を講ずるよう努めなければならない。

2 県民は、避難の際に近隣の者に対して避難の必要性について伝達する等相互に協力するよう努めなければならない。

3 自主防災組織等は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、地域の住民の安全を確保するため、地域の住民に対し、災害等に関する情報の伝達、避難の誘導等を行うよう努めなければならない。

(避難所の運営等)

第十九条 避難所の運営に携わる者は、避難所に滞在する者の年齢、性別、障がいの有無その他の避難所に滞在する者の事情を踏まえ、避難所における良好な生活環境を確保するための必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 避難所に滞在する者は、避難所の運営に協力するとともに、避難所における円滑な共同生活を営むため、相互に協力するよう努めなければならない。

(あおもり防災ウィーク)

第二十条 県民及び事業者の間に広く自助・共助による防災の取組についての関心と理解を深めるため、あおもり防災ウィークを設ける。

2 あおもり防災ウィークは、知事が定める期間とする。

3 県は、あおもり防災ウィークにおいて、その趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとする。

(支援)

第二十一条 県は、自助・共助による防災の取組を行う県民、事業者及び自主防災組織等に対し、必要な助言及び協力その他の支援措置を講ずるものとする。

2 県は、市町村が自助・共助による防災の取組の推進に関する施策を実施する場合には、必要な助言及び協力その他の支援措置を講ずるものとする。

(財政上の措置)

第二十二条 県は、自助・共助による防災の取組の推進に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

青森県自助・共助による防災の取組の推進に関する条例

令和8年3月27日 条例第4号

(令和8年3月27日施行)